下ノ川原ニ居リマス

名ばかり事務所「オフィス カッケン」から、身の回りのこと、いきもののことなどをメモしてゆきます。

ケヤキの森のさかなたち

8月9日、市内の障害者支援施設のお祭りに行ってきた。
施設に隣接する森林公園「ケヤキの森」は、スギ林の多い市内では珍しくケヤキなどを中心とした広葉樹林が残る興味深い環境だ。ここの利活用をはかる”「ケヤキの森」がっこう実施事業活用プログラム検討委員会”さんがお祭りに活動報告ブースを出展するのに合わせ、ケヤキの森にすむ水生生物を展示するお手伝いをしてきたのだった。

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6月、ケヤキの森とその近くの農業用水路にタモ網を入れる機会があった。子供たちはごくごく小さい稚魚をつかまえ「メダカだ!」とはしゃいでいたのだが、水路にいるのはアブラハヤばかりで、恐らく稚魚もアブラハヤではないかと考えていた。またアメリカザリガニ、ヤンマ系のヤゴも見られた。
ケヤキの森の中を流れる水路はこの用水路から派生するごくごく細いもので、あまり魚が豊富な環境ではない。ということで、もう少し下流まで足を伸ばし、近くにいる魚の種類を集めて展示することにした。
公園内の沢(A沢)と、それが合流するB川(基幹農業排水路としても利用)、B川がさらに合流するC川を設定し、①A沢、②A沢-B川合流点、③B川-C川合流点の3地点に捕獲ポイントを設定、タモ網で捕獲を試みた。各地点での魚種は以下の通り。

地点 詳細 魚種 備考
A沢 アブラハヤ 6月にアメリカザリガニも確認
A沢とB川合流点 アブラハヤ・ドジョウ・オイカワ・タイリクバラタナゴ・メダカ類の稚魚 カワニナ、淡水シジミ類
B川とC川合流点 アブラハヤ・ドジョウ・オイカワ・ウグイ・カマツカモツゴ 最大は28cmのウグイ

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予想通り、①<②<③と下流の地点に従い魚種が増える傾向にあった。周辺は田園部であり、用排水路として利用されるこれら河川は樋門やゲートによりこの時期分断されるため、魚類の行き来が少なくなり、魚種も限定されると考えられる。

他方、地元の方によるとA沢までサケがのぼってくることもあるとのことで、ゲートが下り連続性が確保される時期になれば、海域からの遡上も可能であると言える。他方、ヤマメ等にとってはB川は夏季の水温上昇が著しいため、再生産は困難であると感じた。

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展示の中ではやはり大型のウグイが人気だった。カマツカなどももうちょっとピックアップしたかった。
展示水槽の中のおさかな自体は揃ったのだが、捕獲~展示を同日に行わざるを得なかったため、多くの反省点が残った。
・魚種ごとの区別や説明をパネルにつけたほうがよかった
・水槽が複数あると、調査地点ごとの魚種の差をわかりやすく展示できる
60cm水槽ひとつと電池式ブクブクでは限界があるので、移動式水族館よろしく、呼ばれたらどこでもぱぱっと捕まえて種類を展示・説明できるように、自分の身の回りの品も揃えないといけないなと強く思った。

山と里との間には

とても暑かった8月上旬の週末。
所属する猟友会支部の方と一緒に、鳥獣被害防止対策として農業被害の聞き取り、見回りを行ってきた。各地区毎に担当者と実施日が分かれており、猟友会員が一日がかりで担当地区をぐるぐるとパトロールする。
気を付けなければいけないのは、これはあくまで「自治体が猟友会に委託した事業」であり、通常猟期の狩猟とは目的からしてまったく異なるものだ、ということだ。鉄砲担いでうろうろする、という点では似ているけれど、主体が行政か狩猟者かという点の違いは大きい。
実際のところ、中大型鳥獣の対応が警察や自衛隊マターではなく、また対応できる組織・人材資源が事実上猟友会しか存在しない以上、半ばボランティアのようなかたちで依存せざるを得ないのだろうとは思う。昨今は環境省主導で狩猟者を増やそうとか規制緩和して鳥獣対策を民間企業に行わせようという動きが活発だが、狩猟者自体が減少し技術継承が危ぶまれる中、それもどこまで可能だろうか。

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さて。
僕が今の町に越してきて2年目。昨冬は狩猟に出てはみたものの、鳥獣被害防止対策のメンバーに加えてもらったのは今年からで、夏に鉄砲を持って外出すること自体が初めての経験だ。
同行させていただいた方は経験豊富で、猟友会の立ち位置や心構えなどを教えてくださったのだが、自治体主体の被害対策に対する認識が僕とそう変わらず安心して話を聞くことができた。
この数年来、自分の学習テーマのひとつが「人間と動物の関係性」で、獣害はそれに密接にかかわってくるものだ。まだまだ勉強中だけれど、学んだことを現場で活かすことができる喜びはとても大きいと知っているので、もっと頑張りたいと思う。


(パトロールの実態や鳥獣の話は、その指定されている種などから地域性がかなり高い情報なのでここでは伏せることとする)